恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は、SP500を原資産とするオプションのインプライド・ボラティリティ(%、年率)です。例えばVIX=20%とすると、20%が意味するところは、1年後のSP500は±20%の範囲内で収まる確率が68%、となります。
株価はランダムウォーク、正規分布に従うという大原則があるものの、実際には相場が下落した時ほどVIXが急騰しやすい、という特性があります。売りが売りを呼び、下げが加速といったコメントを時々見かけますが、これはインプライド・ボラティリティが相場上昇と相場下落に対して対象ではないことの表れです。
VIXの非対称性を確認してみました
非対称性を確認してみましょう。グラフは2008年から最近までのSP500とVIXの関係をみたものです。
2枚とも横軸にSP500の日次騰落率を記載しましたが、左側の縦軸にはVIX、右側はVIXの日次騰落率をそれぞれ設定しました。また右側には二次の近似式を描画しています。かなり強引ですが、SP500の下げ局面でVIXは上昇、SP500が上げ局面で横ばい、が観測できます。
VIXにはこれ以外の特性もあります
原指数の値動きに対する非対称性以外にもVIX指数にはどんな特徴があるのかを確認するために、ヒストグラムをみてみましょう。
リーマンショックを含む過去10年以上の期間でVIXをみると、たまに高水準に跳ね上がる時がありますが、それ以外は10%後半から20%前半で安定していることが圧倒的に多いことがわかります。XX危機、YYショックなどが起こると市場は一時的に混乱します。しかし投資家の売り疲れ、当局者の政策対応などによって事態は収束へ向かいます。危機やショックで急騰したVIXは定位置に戻り、戻る過程で株価は回復します。羹に懲りて膾を吹いてばかりでは勝てないと思います。
VIXを投資に活用したい!
この他にもVIXには先物も用意されているなど、使い倒し感満載の金融商品です。
VIXとはSP500指数というたった一つの金融商品のインプライド・ボラティリティに過ぎません。しかしSP500指数は世界のありとあらゆるプレイヤーの思惑が複雑に入り混じって価格形成されています。その取引結果がインプライド・ボラティリティという形でVIXに現れているとすると、世界中のあらゆる投資家の心を映し出す鏡のような存在、と言えるのではないかと思います。この鏡をよく観察することは必ず投資にも活かせます。時期をみながら今後もアップしてゆく予定です
今後の記事に加えようと考えていた「国際のETF VIX短期先物指数」が、本日(2021年11月10日)繰上償還されることが決定いたしました。残念・・・・詳しくは三菱UFJ国際投信株式会社のプレスをお読み頂ければと思いますが、丸っと言えば、ボラティリティの低下で基準価額がマイナスになる恐れがあるから、です。