米国は債務上限問題の先送りに成功し、資金繰り危機を回避しました。次のXデーは2月18日。
米国以上に危ない資金繰りの綱渡りをしているのがEvergrande(中国恒大)。投資家は当社の資金繰り、足元の業績や販売動向など正確な実情がまるでわからない中で、「公的支援」「第三者支援」「創業者が資産売却」など様々なニュースに振り回されています。
ただ、大方の投資家の関心はEvergrandeそのものにあるわけではなく、Evergrandeがデフォルトした時の二次影響です。まず被害が及ぶのはEvergrandeが保証している債券です。ただこの手の債券はほとんど耳にしたことがありません。またEvergrandeの債務や格付けを参照しているCDSやデリバも負の影響が及びますが、Evergrande関連のデリバティブを私はほとんど聞きません。仮にデリバが存在したとしても、Evergrande問題が発生してから時間が経過しているので、投資家は時価評価し負の影響は償却されていると考えた方が自然です。
Evergrandeや関連銘柄のデフォルトが中国国内の不良債権問題になることは避けられないでしょう。また中国との結びつきが強い国も相応の影響を受けるでしょう。しかし世界的なシステミックリスクに発展する可能性は低いでしょう。負の影響は局所的に止まり、世界を震撼させるまでには至らないのではないかと思う次第です。
任期が迫っていた米国FRB議長職はパウエル氏の続投が決定し、あと4年間はパウエル体制が続くことになりました。金融市場(に限らず世間一般)とは冷たいもので、高インフレが続くと見通しが強まれば強まるほど、パウエル議長の政策運営にケチをつけるようです。FRB議長職とは尊敬を受ける一方、人に嫌われてナンボの職でもあります。人のやっかみを真に受けていたら職務遂行などできません。パウエルさんにしてみれば文句の一つも言いたいところでしょうが、グッと堪え、淡々とテーパリングをしてもらいたいですね。市場の挑発に乗ってしまい、後手に回った金融政策を急いで取り返そう、などと鼻息を荒げてはいけません、と思う次第です。
