数回に分けてレバレッジ投信についてまとめていきます。今回は2回目。まずは前回の内容を振り返っておきましょう。
前回の振り返り
- レバレッジとはお金を借りて投資すること。個人で行う代表的レバレッジはマイホーム購入。
- レバレッジは自己資本が食いつぶされたら、ゲームオーバー。
- レバレッジ投信の魅力は、低コスト、少額から投資可能、審査なし、追証なし、強制ロスカットなし
- レバレッジ投信は投資家の使い方次第。
レバレッジ投信の基準価額:上昇
今回はレバレッジ投信の基準価額の変動について簡単にまとめました。2倍レバレッジをケースとしています。まずは上昇した場合です。

初期投資額100でレバレッジを2倍とすると、借入金は100必要です。合計200で投資します。
相場が10%上昇したら、投資資産は200*1.1%=220になります。投資資産の上昇によって自己資本は100から120へ増加します。一方借入金は100のままです。
このように2倍レバレッジ投信の基準価額変動率(120/100=20%)は相場変動率(220/200=10%)の2倍になります。そしてレバレッジ倍率と基準価額変動率は比例します。
レバレッジ投信の基準価額:下落
次に下落した場合です。考え方は上昇と同じです。投資資産が10%下落したケースを2倍レバレッジ投信で考えてみましょう。投資資産の10%下落は自己資本を20食い潰します。下落後の自己資本は80へ減少しました。借入金は100のままです。基準価額リターンはマイナス20%で相場変動率の2倍です。
市場が50%も下落するようなケースでは投資資産は200から100へ減少することになります。自己資本は100から0になってしまいます。このような投信は基準価額が計算できない「欠陥投信」です。そうならないために、実際には基準価額が計算できるための何らかの仕組みが事前に備わっているはずです。投資する前には調べておきましょう。

レバレッジ投信のリバランス
「上昇」と「下落」の仕組みを押さえた上で、気になる点はありますでしょうか?そうです、
次の日はどうなるの!?
です。上昇後、下落後の投資資産、自己資本、レバレッジ比率を確認しておきましょう。
上昇:投資資産220 ーーー 自己資本120 ===> レバレッジ比率 1.83
下落:投資資産180 ーーー 自己資本 80 ===> レバレッジ比率 2.25
相場変動によってレバレッジ比率が変化してしまいました。運用会社が誤ったレバレッジ比率を放置することは許されませんので、商品性格に合わせる取引を行う必要があります。これをリバランスと言います(デルタ調整と呼ばれることもあります)。上の例では、上昇相場では20の買い、下落相場では20の売りが投資判断とは全く別の次元で機械的に引値近辺でおこなれます。
リバランスが日次リターンを保証する
リバランス取引を必ず毎日行うことでファンドの日次リターンが商品性格を保証します。ここで注意しなければならないことは、ファンドが提供するサービスは日次リターンのX倍であることです。ある時点からのリターンのX倍を提供することではないことを理解しておきましょう。
レバレッジ投信は毎日リバランスを行うため、日次相場変動率×レバレッジ比率が日次リターンになります。
なお、レバレッジ投信が誕生してからは、引けにかけて指数が急騰、急落するケースが増えた、との話がよく聞かれます。そして今度は引けにかけての特徴的な市場変動を収益化できるのではないか?という野心的な別の試みが生まれてきます。レバレッジ投信の外部性です。折をみて取り上げてゆきたいと思います。
まとめ
- レバレッジ投信が提供するリターンは日次相場変動率×レバレッジ比率です。ある時点からのリターンのX倍ではありません。
- レバレッジ比率をファンド性格に合わせるための「リバランス売買」が毎日必ず行われます。
- リバランス売買は自動的・機械的・無機質売買で、市場変動を大きくする要因です。
- リバランス売買を収益化する野心的な試みがあります。